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「お前、よく恥ずかしげもなくギルドの真ん中で大声出せるな。」
クロウの指摘で舞い上がっていたライナードはハッとし、周りを見た。
案の定、周りからは奇異な物を見る眼でライナードを見るライナード達の先輩方が。
ライナードは顔をほんのり赤くそめアスタークを背負い直し、クロウとアリアレーネに早く案内しろと急かした。
二人は互いに顔を見合い、クスリと笑うと、わかってるさ。コッチだ。とクロウがアリアレーネの手を握りながらレギオンの居るであろうギルドマスター室に案内した。
ギルドマスター室に着き、ノックをし、入っても良いとの合図が帰って来ると共に中に入る一行。
中に入ると先客が居たのか、若い男女二人とレギオンが何やら話をしていた様だ。
「二人ともご苦労様。客が居るが、構わないでくれ。」
客の居る前で客に構うなと言う何とも横暴な発言にクロウ達は慌てた。
客の方も不満をレギオンにぶつける。
「ガルシア、客が居るのに客に構うなと言うのは些か失礼じゃないのか?」
「いやお前等だし、それにさっき話してた話題の彼も此処に来たし、挨拶程度をしてお前等には帰って貰うし、何より娘に関する話の方が大切だろう?」
「おかしい。本当にお前は何処かずれてるから。
お前の言った通りにしてたら、失礼な人間で世が溢れ返るから。昔から言ってるが良い歳したオッサンなんだ、いい加減一般常識を覚えろ。」
「それこそ昔から言ってるじゃないか。
良い歳したオッサンだから、覚えられないんだろう?」
「威張るな馬鹿野郎。」
「ルーくんルーくん。コントは良いから早く帰ろうよ。」
「ラナは少し黙っててくれないか?」
「ルーくんが酷い!」
今のやり取りで、少なからずレギオンとこの男性とは昔からの付き合いであり、ラナと呼ばれた女性の言う様に、今のやり取りは彼等にとっての日常なのだろう。
そんな光景を端から見せられポカーンとしていた学生組の内の一人、ライナードは、このルーくんと呼ばれた男性の声とラナと呼ばれた女性の声、そして女性がラナと呼ばれたのに体をビクンと跳ね上がらせ、油が切れて尚且つ寂れたロボットの様に体を強張らせながら、部屋を出ようとした。
「どうしたんだいアスターシャ君?」
まぁ、止められるのだが。
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