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一匹の獣が人に戻った時、もう一匹の獣が隙有りとばかりにレギオンに飛び掛かる。
「ラナも落ち着きなさい。」
その獣を、ルークが後ろから抱き付き耳元で囁く事で止める。
「ラナ姉、落ち着かないとこれから本当にゼクセレード婦人って呼ぶから。」
「ライ君姉離れ駄目ぇぇええええええええ!!」
「ラナ姉は少しで良いから弟離れしようか。」
そう言いながら、ライナードはレギオンの右手にぶっ刺したロングソードを引き抜き、刀身に付いたレギオンの血をその場でロングソードを払う事である程度取り、ルークの服で残りの血を拭き取った。
「おい義弟。何人の服で汚い物を拭いてんだ?」
まぁ、当然ルークはキレる。
「自分の服とかで拭くってのは論外として、その辺の紙で拭こうかと思ったんですけど、この部屋の紙と言えば重要書類がほとんどだったなと思い、レギオンさんの服で拭くのは刺した手前気が引けて、ラナ姉の服を汚すのもなんだかなと思い、義兄の服で拭きました。
反省も後悔もしてません。むしろ、清々しいです。」
その直後、ルークの腕がブレ、ライナードがその場から消え、何かが壁に衝突した。
「さて、ではガルシア。これ以上は今消えた糞義弟が言ってた様に、本当に話が進まない上に俺達も仕事が有るから帰らせて貰う。
異論は?」
「無いよ。俺も最初から帰すつもりだったし。」
「と言うかラナ姉の暴走が無かったら、もっと早くに帰ってたでしょう?
つまりラナ姉が一番悪い。」
「でも私が暴走したのってライ君がお姉ちゃんに会いに来てくれないのが原因なんだよ?それに、必要以上にルー君を煽ってより話を進み難くしたのはライ君だよ?
つまりライ君が悪い。」
「……………………何故平気そうな顔で話に参加している愚弟?」
「逆に聞きたいですよ愚兄。何故そんな不思議そうな顔をするんですか?」
流れる様にライナードを殴り、そのまま帰ろうとしたルークは、彼の言った様に平気そうな顔で話に参加して来たライナードに驚いた。
彼は、ライナードを気絶させたつもりだったからだ。
「そんな事はどうでも良いんですよ義兄。
さっさと帰って下さい。」
「そうだぞルーク。お前が居たら、何時まで経ってもアリアの話が聞けないだろう?
早く帰れ。」
「そうだよルー君。ルー君が喋ると、ライ君が話せないじゃん。
さっさと帰ってよルー君。」
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