イジメ

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そんな一人の人間としての心境と、一人の親として心境、その2つを持つレギオンは、ライナードの問いに答えるのを躊躇った。 ライナードの気持ちを理解した故に、声に出し難いのか、それともまさかそこまでされてそれを言うか?と言う娘への疑念が有ったからなのか、それともその両方かは本人しかわからない。 わからないが、ライナードはレギオンの表情から読み取ったのだろう。無理しなくて良いですよ。貴方はあの女の父親と言うだけで、貴方まで嫌悪する理由はありませんし、レギオンさんの口から言うのが忍びないのであれば、それはそれで仕方の無い事ですから気にしないで下さい。と助け船を出した。 レギオンはライナードのその助け船を断ると言う返事の代わりに、問いに対する回答をすると言う方法で返事をした。 「…………友達になりたいとか…、そう言った事だよね…?」 レギオンの返事を聞いて、渇いた笑みを浮かべてはい。とだけ返事をするライナード。 そして、ライナードはこう続けた。 「俺はそれを言われた瞬間、本能的に完全にあの女を体が拒絶してどうしようもない吐き気に襲われました。 後の顛末は……知っての通りです。」 「……………………。」 二人の間には沈黙だけが残り、互いに何も言わなくなった。 どのくらい時間が経っただろうか……? それともそれほど時間は経ってないのだろうか? 少なくとも、彼等の体感時間では30分以上は軽く経ったであろう時間が経過した。 先に口を開いたのはライナードだった。 「以上で、良いですよね?レギオンさんが聞いて来た事は全て話しましたし。」 レギオンはそう言われ、ぎこちなかったがあぁ、良いよ。と返した。 それを聞くとライナードは、では失礼しますと言いギルドマスター室を出た。 出ると扉の横にはアリアレーネとクロウが目線を合わせない様に、申し訳なさそうにしてライナードを見ていた。 「よぅ。そう言う訳だ。お前等二人共が俺は受け付けない。正直、今もお前等に話し掛けてるのと視界に入ってる事で今にも吐いてぶっ倒れそうだ。 だが礼儀だとか、そう言うめんどくさい物が有るからこうやって相手をしている。 まぁ、一番の理由は金輪際必要以上に関わって欲しくないからこうやってお前等が俺に関わるのを絶ちたいからだ。 俺の大切なこのコートに触れさせたのも同じ理由だ。」
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