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「陛下を御守りするのは当然だが、両壁際に居る肥えた豚共。私達騎士が守るのは王族と民だ。そして民を守るのは貴族であり騎士だ。故に騎士は貴族と同様の権力を一人一人が持つことを許されている。
貴様等は民を守る立場であるにも関わらず、その民を守るより貴様等を守れだと?
厚かましいにも程が有るぞこの豚が!!
貴族はその力故民を導き守るのが本来の理由であろう!
それを貴様等は放り出せと言っているのと同義だ!貴様等に誇りは無いのか!!恥を知れ!!」
先程まで猫撫声でライ君とライナードの事を呼び、アホな娘全快だった弟馬鹿は何処へやら、此処に居るのは紛れもない騎士。
どちらを最初に見ても、そのギャップに別人と疑う者は十人中十人全員だろう。 それほどまでに、先程までのラナーシャと今のラナーシャは別人だ。
そんなラナーシャの罵倒に肥えた大臣達はもちろん反論する。
貴様!平民の出の癖に儂等に失礼だぞ!!や、貴様!そんな無礼が許されると思っているのか!や、貴様!何を考えている!!これはこの国建国からこの国を支える~等、本当に様々な罵詈雑言を各々が口々に言う。
そんな彼等のやり取りにルークがキレた。
「黙れ。」
決して大きな声で怒鳴った訳でも、ましてや拡声魔法と呼ばれる、所謂拡声器の様な魔法を使った訳でもない。
それでもルークの声は、その場に居る者全ての耳に届いた。
「此処は陛下の御前だ。そこで貴様等は何をやっている?
確かにラナーシャが大臣方に酷い事を言ったのは事実だ。普通なら不敬罪で捕まっても文句は言えない。
だがラナーシャは騎士で有り、国王の次の次、王族の次に力を持つ貴族である現当主のこの私の妻だ。不敬罪はこの場合、貴様等が問われる。
何よりラナーシャの言う通りだ。貴様等は何様だ?我々貴族は民を先導し、守るのが仕事だ。そして何より、この貴族と言うのも国王と言うのも、国と言うのも、全て民が居てこそだろ。
そんな当たり前の事を押し退け自分達の事だけを第一に考えを口を開く。全く以て不愉快だ。同じ貴族として恥ずかしい。
もう一度言う。
此処は陛下の御前だ。そして貴族と言うのも騎士と言うのも民が居てこそ、民を先導してこそだ。双方恥を知れ。」
そこまで言うと、ルークは1歩前へ出て跪いた。
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