1週間~序章~

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ルークとラナーシャが1週間の休暇の許可を国王から貰った日から約半月。 ルーク達夫婦は部下達に1週間分の仕事の引き継ぎを行っていた為、1週間の休暇までに約半月が掛かった。 そして約半月が経った本日霜の月の4の日。 「…………あの、ゼクセレード婦人?現在は授業中でして。」 「お気遣い無く~。」 「帰れ。」 国王に許可を貰ったあの日に宣言した通り、学園に突入し、ライナードに抱き付いている。 ルークは教室の後ろで頭痛がするのか頭を抑えてる。 ライナードの席は、ほぼ教室の真ん中に在る。 そこに有名人であり貴族の婦人であるラナーシャが落ちこぼれと言う認識であり、クロウとの決闘で畏怖の対象となったライナードに抱き付いているのだ。生徒の視線は自然とライナードとラナーシャに向けられる。 「ライ君成分を補充中だから帰りません!!」 「帰れ。常識を弁えろ馬鹿ラナ姉。」 だがそんな視線もラナーシャにはなんのその。 完全に我が儘全快である。 ライナードとルークが同時に溜め息を吐くのは不思議な事ではないだろう。 「………義兄、これの管理は確か、結婚した時に管理もするとの事で了承した筈ですけど?」 「わかってる……。これに関しては俺が管理を怠ったからだ……。 だがお前がラナに会いに来ないのが悪い。 だからお前も悪い。」 「黙って下さい。俺は学生なのですよ?会いに行けないのは当然です。第一、行っても門前払いするのは義兄でしょう? 結局義兄が悪いんじゃないですか。 取り敢えずこのゼクセレード婦人を俺の寮の部屋に連れて行って下さい。授業の邪魔です。」 ラナーシャは、ライナードにゼクセレード婦人と呼ばれた事でいつぞやの様に石化したかの様に固まり、ライナードに抱き付いていた時の格好のまま床に沈んだ。 「………嫁が失礼しました…。」 そのラナーシャの首の後ろと膝の裏に手を回し、所謂お姫様抱っこをして、そのタイミングを見計らったかの様なタイミングでライナードが投げた寮の部屋の鍵と思われる物を口でキャッチし、教室をあとにした。 その時教室内に居た者達はその後、ライナードにゼクセレード夫婦との関係を聞きたそうにしながら、本日の授業を消化した。
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