1週間~序章~

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アリアレーネの行動により、空気の悪さ重さはより悪化した。 「……………………はぁー。」 空気が悪くなった原因は自分に有ると自覚しているのか、珍しくライナードが空気を読んだ。 「お前等が俺に聞きたい事は、ゼクセレード家現当主にして王国騎士騎士長ルーク・ゼクセレードとその妻であり王国騎士副騎士長のラナーシャ・ゼクセレードの二人と俺との関係だろ? 俺から話す気は無い。知りたいなら本人達に聞くか、そこの二人に聞け。」 溜め息を吐きながら、呆れた様に話したライナードは、事後処理をアリアレーネとクロウに押し付け、学園長室に向かった。 残された生徒含め教師達が、アリアレーネとクロウに詰め寄ったのは、ライナードが教室を出て数十秒後の話だ。 現在、ライナードのクラスの騒ぎを聞きつけ再び学園中の者がライナードのクラスに集まり、ライナードとルーク達夫婦の関係を聞きに行っている為、廊下にも教室にも誰も居ない。 それを見越してか、アイツが口を開いた。 【キシャシャシャシャシャシャシャシャ!! ライナー!また静かに派手にやったな!!キシャシャシャシャ!】 「静かに派手ってどんなんだよ。にしても、うん。やっぱり気持ち悪いなやり残しって。」 【キシャシャシャシャ!お前の呟きを聞いてから気になってたんだがよ、やり残しなんて有るか? お前、ちゃんと2発やったじゃねぇか。】 「は?俺は掴むと蹴(なぐ)るしかしてないぞ?」 【…………は?え、ライナー?もしかして胸倉掴まれたのが腕を握り潰した掴む?】 「?当たり前だろ?アイツ、思いっきり俺のこの大切なコートを握ったんだぜ? 俺も思いっきりやらないと割に合わない。」 ライナードのとんでも理論に流石のアスタークも絶句。 だが、言っている事は当たっている様にも聞こえる。 我々の地球の日本で一時期、やられたらやり返す。倍返しだ。と言うのが流行ったが、ライナードの行動は確かに第三者から見たら、これに見えるだろう。 しかし、それは身体能力のスペック、つまり能力が違うからだ。 今のライナードの身体能力は、いつの間にか怒った時のスネークコングとほぼ同等の力が有る。 その力で力いっぱい握れば、普通の人間の力しか持たないレニーの腕など潰れて当然だ。 だが、これが同じ身体能力なら腕が赤くなるか痣になるか程度だ。 故にライナードの主観としては普通と言う認識なのだ。
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