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ルーク達の休暇である1週間。その後半をトライ学園理事長ロワネット・ローンドロフの申し出により、生徒達の育成に充てた三日間。
結局二日目以降の訓練に参加したのは、ライナードは強制参加であったが、アリアレーネとクロウ、その幼馴染みであるレニーとアン、それに弟のヴァンの友人二人の計八人だけだった。
彼等の訓練を終え、休暇も終えたルーク達ゼクセレード夫婦は、その八人に見送られ、その足で任務に就いた。
ルークは王からの任務を、ラナーシャは民間からの任務にだ。
王からの勅命は必ず騎士長が受けるのがこの国の倣わし(ならわし)で、ルークは民間からの要請を副騎士長であるラナーシャに任せたのだ。
任されたラナーシャは、既にその時時刻は夕暮れ時であったが、その日の内に三件もの要請を達成させた。
その三件目を終え、帰ろうとした時、ラナーシャ率いる騎士達は何者かの襲撃を受けた。
ラナーシャ一人であるならば、どうにか逃げ隠れ出来る相手であったが、部下達を庇いながら逃げた為、最初は何とか防ぎ逃げていれだが徐々に圧され始め、ラナーシャは自分はその場に残り、部下達を逃げさせた。
話を聞いたルークは、部下達にその日の仕事を任せ、急いで現場に向かった。
しかし、ルークが現場にたどり着いた時にはもう、そこには誰も、何も無かった。
この事は、実の弟でもあるライナードにもルークの口から知らされた。
聞かされたライナードは無言でルークを殴り、押し倒し、不安気に哀しみを孕んだ表情でルークを怒鳴りながらルークの顔を殴った。
「アンタ!ラナ姉を護るって!絶対に危険にはさせないって!絶対にラナ姉を離さないって!そう言ってラナ姉と結婚したんじゃなかったのかよ!?
そう俺達の前で約束したんじゃなかったのかよ!?
そう言って俺達に頭を床に付けてラナ姉を俺にくれって言ったんじゃなかったのかよぉぉ!!!!」
ルークはされるがまま殴られ、ライナードがルークの胸倉を掴み睨んで来た時に一言、
「すまない……。」
本当に悔しそうに、絞り出したかの様な声で一言、そう言った。
「ッ!!この糞野郎が!!!!」
ライナードは激しくルークを床に打ち付け胸倉から手を離し、何時ものコートを羽織り、何時ものロングソードを携え、そしてアスタークを背のホルスターに入れ、寮を飛び出した。
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