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「………………………………俺は…………。」
残されたルークは、ただその場で焦点の合わない眼で茫然としていた。
トライ学園の寮の自室を飛び出たライナードは、まずギルドに向かった。
少しでも多くの情報を得たかったからだ。
「ギルドランクC、ライナード・アスターシャです。ギルドマスターとの面会、またはラナーシャ・ゼクセレード婦人のに関する情報を出来る限り教えて頂きたいです。」
ギルドの受付にてギルドカードを提示しながら用件を言うライナード。
「申し訳ございませんアスターシャ様。ギルドランクCの方がギルドマスターとの個人的な面会を行う事は堅く禁じられております。 早急に面会しなければならない事情が有るのでしたら、その御内容の方を私共が承り、それをギルドマスターにお伝えすると言う形になります。
また、ラナーシャ・ゼクセレード婦人に関する情報も同様、国の重要人物でありますので名前以外の情報の開示は出来ません。」
「ッ……。」
事務的で協力的ではない受付に苛立ち、思わず睨んでしまうも受付の仕事の事を思い出し、眼を瞑る事で怒りを抑えるライナード。
「……………………。内容を言うので急ぎレギオンさんに伝えて貰いたいです。良いですか?」
受付は紙とペンを取り出してどうぞ。と返した。
「ギルドランクCライナード・アスターシャより、ラナーシャ・ゼクセレード婦人が行方不明になりました。
こう伝えて下さい。そうすればレギオンさんは全て理解して下さると思います。
では伝令をお願いします。急ぎです。
失礼しました。」
レギオンへの連絡の内容に、受付は固まっていたが、真偽はとにかく急ぎお伝えします!と言って、奥へと消えた。
ライナードはその姿を見ずに、言うことだけ伝え、自分はこの王都の城壁の上へ走った。
本来ならそんな所に昇れないのだが、ライナードには転移が有るため難なく着いた。
「我が血を吸い、我と似た血の者を捜し出せ。剣銃アスターク!!」
そこでライナードは、王都を見下ろしながら自身にアスタークを突き刺し、アスタークにラナーシャの血を捜させた。
【………………キシャシャ。】
ある程度ライナードから血を吸ったアスタークは、力無く渇いた笑い声を上げた。
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