81

2/8
308人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「日乃元(ひのもと)の武を知らしめるために、模範演武をやらないか。そして、最終日には各人が得意な武道で、異種格闘技戦をおこなう。誰がこのクラスで一番強いか、決定するんだ。どうだ、みんな」  東園寺派の生徒たちが拍手(はくしゅ)して叫んだ。 「異議なし」 「さすが、いいアイディアだ」  カザンなら男子クラスの3組全員で女装して巫女(みこ)カフェをやるといっても、あいつらは賛成というだろう。タツオは心のなかで肩をすくめたが、顔色は変えなかった。クニが露骨に嫌な顔をした。クニは軟派で格闘技はすべて苦手である。 「場所はどうするんだよ。教室じゃ無理だろ」  カザンは平然としている。 「久本(ひさもと)先生に頼んで、おれが柔術場を借りてやる」  東園寺派の学年主任をつかうのだ。幼い頃からカザンの面倒を見ていた久本主任なら、柔術部の予定を変更してでも、あの立派な道場を貸してくれるだろう。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!