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「日乃元(ひのもと)の武を知らしめるために、模範演武をやらないか。そして、最終日には各人が得意な武道で、異種格闘技戦をおこなう。誰がこのクラスで一番強いか、決定するんだ。どうだ、みんな」
東園寺派の生徒たちが拍手(はくしゅ)して叫んだ。
「異議なし」
「さすが、いいアイディアだ」
カザンなら男子クラスの3組全員で女装して巫女(みこ)カフェをやるといっても、あいつらは賛成というだろう。タツオは心のなかで肩をすくめたが、顔色は変えなかった。クニが露骨に嫌な顔をした。クニは軟派で格闘技はすべて苦手である。
「場所はどうするんだよ。教室じゃ無理だろ」
カザンは平然としている。
「久本(ひさもと)先生に頼んで、おれが柔術場を借りてやる」
東園寺派の学年主任をつかうのだ。幼い頃からカザンの面倒を見ていた久本主任なら、柔術部の予定を変更してでも、あの立派な道場を貸してくれるだろう。
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