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「蒼っ!?」
暗闇の中から声がした。
知ってる声だった。
ぼんやりとした街頭の灯りに浮かび上がったのは尊の姿で、
「蒼、携帯は?ずっとかけてたんだけど、気付かなかった?」
そう言いながら焦ったように駆け寄って来た。
「……ごめん。気付かなかった」
私がポツリとそう言うと、
「蒼、どうしたの?何かあった?」
尊がそう言いながら私の両肩を掴んだ。
そして、少し屈んで私の顔を覗き込む。
昔から尊は、よくこうやって心配してくれる。
「別に……大丈夫だよ」
そう言って無理に笑った瞬間、大丈夫じゃない感情が込み上げて来た。
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