わたしの日常

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ぼーっと綾瀬君の行動を見ていると、一人の青年が彼の傍らに来た。 綾瀬君には及ばないけど、その青年も顔立ちが整っていて、充分イケメンの部類に入った。 屈託なく明るく笑う彼は見た目からして好青年で、さぞかし女の子達にモテる事だろう。 『あれ、誰だっけ』 『えぇ!知らないの!?木崎千晴(きざきちはる)君だよ、綾瀬君と結構仲のいい…』 ふぅんと気もなく頷いて、それとなく彼に眼差しを当てていたらー……綾瀬君じゃなく彼が私に気がついた。 (あ……ヤバ、、) 今更、目を背ける訳にもいかず秘かに硬直していると、じっと私を見ていた木崎君がいきなり柔和な笑顔を浮かべてー…… 無表情で椅子に座ってる綾瀬君に、何やらこそこそと耳打ちし始める。 僅かして不承不承といった顔で頷いた綾瀬君ににっこり笑い、木崎君はこっちに向かって手招きしてきた。 『あれぇ?……なんか私達を呼んでない…?』 『………は…?』 『呼んでるよぉ!亜理子、行ってみよっ?』 『……え、、……紗知!?』 半端ない行動力。 まるで仔犬みたいに嬉々として尻尾を振った紗知は、綾瀬君達の元に駆け寄った。 装っていたクールさも忘れ、遠くから唖然と三人の姿を捉える私ー…… 『ありすぅーー!!何してるのぉ、早く来なよー!』 手を揺らして私を大声で呼ぶ紗知の表情には、ちょっとした優越感が見え隠れしていた。
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