レッド信号

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光の加減では琥珀とも錯覚しかねない、やや吊り気味のキツイ眼差し。 通った鼻筋。 男にキスをねだる、官能的な薔薇色の唇。 人目を引くしっとりと艶やかな長い黒髪は、物語に登場する妖しい魔女のよう。 陶器の如く透き通った滑らかな白い肌、と誰もがそう形容する私の姿は無垢なアリスとは程遠かった。 木崎君とはあの日を堺に、親密になっていったと思う。 相変わらず紗知は、私と木崎君がお喋りしている時に限って絡んでくるけれどー…… 木崎君は常に私に優しくしてくれたし、紗知の存在もそれほど気にしなくなった。 時折、手を繋がれても全然嫌な気はせず、むしろ面映ゆい気分。 好きなのか?と尋ねられたら、確実に好きと答えるだろう。 ただ、恋かどうかは自分自身よく把握出来ていなかった。 『………ん…っ…』 そんな彼にも、あの男にセクハラされてるとは言い出しにくかった。 彼女がいるくせに、ちょっかい出してくる日が増して…。 『………う…』 私が一人の時を狙って、小狡いアイツは仕掛けてくるんだー…… 流石にこれは何とかしなきゃヤバい、と思うようになってきた。 一発やっておしまいなら幾らでも相手してやるけれど、どうもそれだけでは済まない予感がしてー…… 何故か。 私が助けを求めたいのはいつでも優しい木崎君じゃなく、あのぶっきらぼうな黒髪の美青年だった。
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