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ー…………。
仕方がないなぁ。
派手な容姿とは裏腹に、自分から男に寄っていくのって好きじゃない。
幼い頃から男に媚びる母親を、うんざりするほど目にしてきたからかも知れない。
だけど紗知にキラキラした瞳で見られると、どうにも断れなくてー……結局、私はあの子に甘いと痛感する。
歩くだけで、男達の視線がまとわりつくのが正直鬱陶しい…。
無駄金を使うのが嫌な私は母親のお下がりばかり着ていて、服装も他の子よりアダルトで露出度が高いからー……
より一層、スケベな男の視線が肌に張りついて、気持ち悪かった。
母親の恋人達と一緒。
(……あぁ、女子大にしとけば良かったなぁ…)
内心苛々しながら紗知や綾瀬君達のところに歩を進めたら、おっそいよぉー!!と甘ったるい声を出す紗知に手を取られた。
『あのねっ、綾瀬君達、私達と一回でいいからお喋りしてみたかったんだって!!』
『………え…?』
ー……咄嗟に。
座席に着いている黒髪青年を見ると、仏頂面でしらっとした態度…。
どう見ても、私や紗知とお近づきになりたいとは思えない。
それどころか、ウザいから早く戻れよとそんな様子がありありと見て取れた。
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