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黙々と
カメラをいじる
マシロを遠巻きに見ながら
俺はピザ屋に
電話を入れた。
30分で
できると言われたけど
1時間後に
配達してくれと
頼んでおいた
マシロの手入れが終わるまで
あいつは
カメラを
手放しそうになかったからだ。
手入れに使う道具
ひとつひとつさえ
しっかりと
記憶するかのように
じっくりと
観察しながら
手入れをすすめるマシロ
そんなマシロの動き
ひとつひとつから
俺は
目が離せなくなっていた
お互い何も
話さない
静かな
時間。
マシロの
手から生まれる
音だけが
聞こえる
妙な・・・空間。
でも
なぜか
俺の胸が
あったかくて
なんだか
マシロが
妹や姪のように
思えて
微笑ましくて・・・・
「あ、マシロ…」
「は、はい」
突然、名前を呼ばれて
マシロは驚いて
俺を見た
「ちょっと・・貸してみ?」
俺は
マシロの横に
あぐらをかいて座り
マシロの手から
カメラを取り上げた
「ここはな・・・
この角度からやると
うまくできるんだよ
ほら
こうして・・・」
俺がいつもしている
手入れの仕方を
マシロに教えてやる
「俺もな
ずっと前は
お前と同じやり方で
やってたんだよ
でも
こうした方が・・・
やりやすい
だろ?」
マシロは
膝立ちになって
俺に近づき
カメラを
覗きこんだ
俺の指示する場所を
しっかりと
覚えたいんだろう
俺に顔を寄せて
俺と同じ目線で
カメラを見ようとする
マシロ
マシロ?
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