メモリップ

2/18
前へ
/18ページ
次へ
「あの、香織先輩!」 「はい?」 香織先輩は、商品である服の形を整えていた両手を止めて、あたしを振り向いた。 「ちょっと聞きたい事があるんですけど……」 あたしは なるべく遠慮がちな口調で言う。 「なぁに?」 「先輩っていつも、口紅だけ付けてないですよね」 「え?」 「他の部分の化粧は完璧なのに… どうして唇だけは、何にもしないんですか?」 すると、それまで穏やかだった香織先輩は、急にキッとした表情になってあたしを睨んだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加