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唐突な口調でそう言った礼央は、ゲーム機をいじっている手を止め、優と透を見た。
二人も礼央を見る。
「何?」
「何かさー…今思ったんだけど。この苺…例えるなら、まるであの頃の俺らみたいじゃない?」
礼央は何か、思い出すような表情で言う。
「は???」と優と透。
「最初は酸っぱいけど、これから どんな味にもなる。変われる。その可能性を秘めてる。
どんなに酸っぱいツンツンした苺でもね、こうやって甘いシロップを掛けてあげたら、素直に甘くなる。
だから、その時期が凄く大事。
その時期に、どんな刺激を受けるか…で、この苺の味が決まる。だから」
礼央は続けた。
「この苺の状態は、そう。あの頃のおれらに似てるねって話」
そう言って礼央は、また一つ苺を口に入れた。
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