26人が本棚に入れています
本棚に追加
――これが恋だとは全く気付かなくて。
初めての気持ちで、恥ずかしくて。
でも、それでも弾ける胸の音を誤魔化すなんて出来なかった――
「……本当にやるんすか?」
「しつっこいなー、何度目だよ、立花ちゃん。やるっつったらやるの。前から言ってたでしょーが!」
すっかり暑くなった夏の日差しの下、旧校舎の庭に私達、生物部は集まっていた。
今日は一学期の最後の日で、終業式が終わった午後である。
今は十三時前だ。
そろそろ皆が集まってくる、という事で私達は外にいるわけだけれど。
男子二人は日陰で暗い顏をして座っている。
「……蝶野ちゃんは平気なの? そのー……」
「あ、はい。田舎のお爺ちゃん家で手伝った事ありますし。その時も割と平気でしたね」
幸さん先輩は若干青い顏をしていて、爽やかさはどこかに飛んでいっているようで。
最初のコメントを投稿しよう!