第8章

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――これが恋だとは全く気付かなくて。 初めての気持ちで、恥ずかしくて。 でも、それでも弾ける胸の音を誤魔化すなんて出来なかった―― 「……本当にやるんすか?」 「しつっこいなー、何度目だよ、立花ちゃん。やるっつったらやるの。前から言ってたでしょーが!」  すっかり暑くなった夏の日差しの下、旧校舎の庭に私達、生物部は集まっていた。 今日は一学期の最後の日で、終業式が終わった午後である。 今は十三時前だ。 そろそろ皆が集まってくる、という事で私達は外にいるわけだけれど。 男子二人は日陰で暗い顏をして座っている。 「……蝶野ちゃんは平気なの? そのー……」 「あ、はい。田舎のお爺ちゃん家で手伝った事ありますし。その時も割と平気でしたね」  幸さん先輩は若干青い顏をしていて、爽やかさはどこかに飛んでいっているようで。
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