第1章『兄弟のカタチ』

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「昔って・・いつだよ」 弟がぽつりとつぶやく 「・・っ」 「ねえ・・教えてよ・・」 「・・・・」 「目、そらさないで教えてよ頼むから・・」 弟の声が震える 俺は、口を紡ぐしかない 「どれくらい昔に戻れってゆうんだよっ!!」 「それは・・」 その言葉に、俺は何も返すことが出来なかった。 弟が俺に向かって、こんな風に激怒したことなんて今まで一度もなかった。 どうしたらいいかがわからなかった。 どう接してやるべきかが、もう今の俺にはわからなかった。 だからそっと腕を震える弟へと伸ばす。 縛られた手首を弟の頭にくぐらせ、何も言えぬまま俺はただ弟を抱きしめることしか出来なかった・・。
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