第1章

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「真優ちゃん、昨日の事怒ってる?」 後ろからツンツン、と突かれ振り返る。 悠美が不安そうな顔で私を見上げていて、イタズラを叱られた子犬みたいな視線に、思わず笑ってしまった。 「全然。私も興味あったし、自分で立候補なんて絶対しなかったと思うからむしろ感謝してるよ」 「ほんと?よかったぁ」 へらりと笑う姿が可愛くて、彼女のお団子を崩さないように前髪を優しく撫でると嬉しそうに目を細める悠美。 「真優ちゃん大好き」 「ありがと、私もだよ」 ちょっと気持ち悪い会話かもしれないけど、悠美が言うと何だか違和感なくて、私も慣れてしまった”大好き”って言葉。 悠美と居ると、不思議とストレスが無い。 皮肉っぽい事は言わない子だし、裏表がないから付き合いやすい。 「デザインとか、出来そう?」 「うん、大体方向性つかめたし…他人のデザイン作るより、出来れば自分の作りたいな…」 「そうだよね、頑張って!」 だって、他人のデザインって、いくら素敵でも無茶振りな事があるんだもん。 こんな風に作るのは無理だって言っても、きっと聞いてくれないだろうし。 それは無理って言い出せなかった私も悪いけど…。 となれば、何としても採用されないと。
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