第1章

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なんて心配は、必要無かった。 翌週いくつか作って行った候補をLHRの時間に出し合った。 黒板にマグネットでデザイン画を貼り付けて、私が作って来たチャームは教卓の上に置いた。 皆どれも良いと言ってくれて思った以上に反応が良かった。 というか、逆に素人が作った物なんてと思っていたのに予想外に良かったからその分反応が良かったんだと思う。 「どれもいいねー」 なんて、クラスの中心的な男子が驚いてくれて、そうなると女子も何となく追随する。 けど、ひと悶着もあった。 「てか、実物があったらそっちのが良く見えるのは当たり前じゃない?」 そう言い出したのは、デザイン画を持って来た人の一人で、オシャレとか制服の着こなしに命かけてます!って感じの小酒井さんだった。 オシャレ命で雑誌にスナップが載った事があるのが自慢の、結構可愛い子。 クラスの中では派手な方だけど、ギャルってわけじゃないから一般的にはオシャレで可愛い子枠だと思う。 自分のセンスに絶対の自信があるらしい彼女は、自分が考えたデザインにも当然自信があったようだった。 「皆のデザイン画を作ってみてもらわないと、フェアじゃなくない?」 確かに、それはそうなんだろうけど。 彼女のデザインしたチャームは確かに可愛かった。 流行りを取り入れて、でもちょっとオリジナリティを感じさせるデザイン。 でも、これを実際作るとなると、樹脂粘土とそれに着色するだけじゃ無理。 いくつかパーツを作って、着色して、それをグルーか何かでくっつけないと出来ないようなデザインだ。 とにかく手がかかりそう。 そして、何より、これ、すっごく女子向けじゃん。 「それは仕方ないだろ。時間もそんなに無いし、俺は実物無くてもこっちのがいいし…それに、俺はコッチだったらライブでは付けない」 トン、と柴門君が小酒井さんのデザイン画を人差し指で軽く叩いた。 「ライブ?」 周りが何の事だと不思議そうに首を傾げた。
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