第1章

12/18
前へ
/18ページ
次へ
「まず、あえて言う必要も無かったから誰も言わなかったけど、このオマケって男女兼用だろ?」 周りのまあ、そうだねという反応を受け、柴門君は頷いて続けた。 「だから、あんまり女性的なデザインは良くないと俺は思ってる。それと、これは皆が賛成してくれるならだけど、俺のライブで宣伝の一環としてオマケのモチーフ使ったアクセを付けようと思ってる」 クラスの反応が一気に良くなった。 自分も欲しいという子も居たし、それが宣伝として効果があるとクラスが全体的に思っているのが十分わかった。 てか、そんなに皆知ってるの? 柴門君のバンド。 私、知らないんだけど。 「ちなみにこれは英さんの案だけど、別に英さんのデザインじゃなくても採用されたのをライブで着けるよ。ただ、predationのカラーじゃなければ着けない」 採用されて、尚且つpredationのイメージに合うデザインのものだけを着ける。 その言葉にクラスメイトが選ぶデザインの方向性が決まったように思う。 そして、私にとっては有利に働いた。 「あ、後、デザインを全部実際作ってもらうなんて時間無いし今日決採るから」 サラリと言った柴門君の言葉に、小酒井さんは悔しそうにしていたけど、皆小酒井さんのデザインには目もくれてなかった。 それはそうだ。 彼女のデザインは身に着けないとはっきり言われたようなものだったから。 柴門君のやってるバンドのファンが居るなら、普通のお客さんプラスその人たちが買ってくれたらいいなと思って提案した事だったけど、案として良いものだったみたい。 ていうか、柴門君のバンドはpredationっていうのか…うん、聞いた事ないわ。 結局、私がデザインしたものに決まって、色々とほっとした。 変なもんに決まって、再現できなかったら困るし。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加