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「イケメン…」「生徒会長の彼氏?」
「お兄さんじゃない?」「何者…?」
運転席から、あたしの方へ歩いてくる和哉は、文字通り注目の的となった。
スラッとした体型、キリッとした顔。かっこいいと思う。
ただ、視線を集めて調子にのる性格は、少しいただけない。
「待たせてごめんね」
そう囁いて、あたしの手に軽くキスをして助手席のドアを明ける。
この流れが素でできるんだからすごい。
女子生徒たちの視線が、さっきよりも熱く感じる。
明日には、学校中に噂が回っているんだろう。
別に困らないからいいけど。ある種、和哉の狙いでもあるのだから。
おふざけ半分だろうが、なんだか和哉の機嫌がいい。
「あの、」
助手席の窓を開けると、集まった生徒たちが一斉にあたしを見た。
生徒会長挨拶の時よりも真剣な目をしているんだから、笑っちゃう。
「そこに集まったままじゃ、邪魔になっちゃうから、活動場所に移るようにしてね。もういい時間じゃない?」
上級生たちは、ハッとしたように宣伝チラシを配り始めた。
それでも、やはりあたしたちが関心から外れたわけではなく、
なおも注目を浴びたまま、車は校門を抜けた。
「陸上部!特に長距離!募集してます!」
大声で勧誘をする未歩の声が、少しずつ遠くなった。
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