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「今日は随分とギャラリーが多かったみたいだけど」
運転席から、和哉が尋ねた。
「新入生ね。今日の午後は部活動見学だから」
「ああ。だから、こんなに下校が早いのか」
春休み前は、授業のあと、生徒会活動が終わってから下校だった。
その時間なら和哉も仕事を終えているだろう、ということでお迎えを頼んでいた。
今日は昼間のお迎えだが、二つ返事でOKしてくれた。
そういえば、今日は会社はいいのだろうか。
そう和哉に聞いてみるが、会社の話を振ると、決まって機嫌が悪くなる。
「別にいいんじゃない?半分俺の会社だし」
そう言って、彼は顔をしかめた。
いつも、適当にあしらうけれど、なんだかんだ、しっかり仕事はこなしている、らしい。
和哉が勤めているのは、彼の曽祖父の代から続く大企業だ。
本人があまり語りたがらないので、詳しいことはわからないが。
だからあたしも、少しふざけて言う。
「そうでしたね!跡取り息子!御曹司!」
ハハっと笑い飛ばし、和哉が話題を変えた。
「まだ帰らないでしょ?どこ行きたい?」
とくに希望もないので、お任せしよう。
「和哉の行きたいとこ」
「可愛いこというじゃん。じゃあ、今度の会議のためにネクタイ選んでよ」
そう言うと、なんだか楽しそうにハンドルを切った。
その右手に光る指輪を見て
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