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自分の子供を危うく投げ付けそうになった衝動を思いだし、一本の釣竿に込める。
糸は青空に弧を描いて、海に落下した。ルアーが音もなく海面に吸い込まれる。
リールを巻く。
魚が餌に噛み付いたわけじゃなく、ただ投げる為だけに糸を手繰り寄せる。
釣れた魚で寿司はできるだろうか。そもそも、寿司ネタにできるような魚を釣り上げることができないだろうか。鮃や鰈が釣れたら良いのに。餌が桜エビとは贅沢だ。かといって蚯蚓を手にする精神力は持ち合わせていない。
穏やかな海を眺めて無心になることもできずに無駄な動作を繰り返す。
淡々とした時間が夕暮れを連れてきた。
釣竿に重みが掛かる。
もしやと思い、リールを巻く。
釣竿の先にある抵抗感が釣竿越しに伝わってきた。
負けるものか。
負けず嫌いを煽られた気がした。
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