鬱憤を晴らしたかった。

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私は無我夢中でリールを巻いていた。 なん巻きしたのだろう。 何回巻いているのだろう。 そもそも、無我夢中だった。 「おぎゃあ」 ひっぶれた猫みたいな赤ちゃんの鳴き声と共に引き上げられた鞄。 鞄から滴り落ちる水滴を太陽が耀かせる。 「よしよし、いいこね」 振り返れば赤ちゃんをあやす母親の姿がある。 私は母親が抱き上げた赤ちゃんと鞄を交互にみた。 鬱いでいた心に込み上げた笑い。 子供の姿がちらついた。 帰ろう。 良い息抜きになったのだから。
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