5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
私は無我夢中でリールを巻いていた。
なん巻きしたのだろう。
何回巻いているのだろう。
そもそも、無我夢中だった。
「おぎゃあ」
ひっぶれた猫みたいな赤ちゃんの鳴き声と共に引き上げられた鞄。
鞄から滴り落ちる水滴を太陽が耀かせる。
「よしよし、いいこね」
振り返れば赤ちゃんをあやす母親の姿がある。
私は母親が抱き上げた赤ちゃんと鞄を交互にみた。
鬱いでいた心に込み上げた笑い。
子供の姿がちらついた。
帰ろう。
良い息抜きになったのだから。
最初のコメントを投稿しよう!