第2章 黙念

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人々は黙念とすれ違う時に立ち止まり息を飲み込む者も居れば顔を反らしすれ違う人もいる。 黙念はお面をかぶっているのだ 歌舞伎とかで使われる能面の様な文化や気品とか漂う立派な物では無く白いマスクでまるで昔見た金田一耕助の映画に出てくるスケキヨのようだった。 やがて夕方になりお通夜が始まる町の人々が次から次へとやって来る。 小さな田舎町だからほとんど顔見知りと言っても過言では無いだろう。 仮に亡くなった人を知らなくても親類知人等誰かかれか繋がりはある。 石段ですれ違い様々にお辞儀し合う者香典を出して記入してる者 線香をあげようと本堂に向かう者と御悔やみを終えて帰る者。 普段ひっそりとしているお寺は人々で溢れ始めていた。 「黙然さんもう私達だけで大丈夫ですから」 おにぎりを握っていた女性が言うと黙念は立ち尽くし辺りを見る。 引きつった顔をなんとか笑顔にしようとしている者全く黙然の方を見ようとはしない者。 「ねっ大丈夫だから」 女性がもう一度話しかけてきた黙然はコクりと頷いてその場をあとにする。 黙然の姿が見えなくなると調理場にはため息が漏れて中には二の腕を擦ってる人もいた。
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