第1章 少女

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川のほぼ中央にある大きな石は何年いや何十年と濁流に耐えながらここに居座っている。 川の水は石にぶつかるとまるで邪魔だと言わんばかりに怒りながら左右へと流れる。 だから大きな石の周りは流れが少しキツくて気を抜くと足が思わず捕られてヒヤッとする事がある。 女の子は僕の右側に来ると渡って来た岸へとクルりと向きを変えた。 「何を捕ってるの?」 少し前屈みになって僕の手元にある水槽を覗き込んで来た。 「ザリガニだよアメリカザリガニって言うんだ」 僕は少し自慢げに応えた。 「お家で飼うの?」 女の子は興味津々に覗き込みなが聞いて来たけど僕は逃がしてあげると応えた。 「折角捕まえたのに.....?」 目を丸くして不思議そうな顔をした。
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