第2章 黙念

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線香の匂いが漂いお経を唱えている声と共に雀たちの声も聞こえ始めると 小坊主は住職の食事をテキパキとこなして表に出て竹ぼうきで庭の掃除を始める。 次第に雀たちが群がってくるとパンくずを小坊主はばらまく 雀たちが食事してる姿を小坊主は無表情で見つめる。 「黙念食事にしようかの~」 住職が小坊主の背中に問いかける。 小坊主は手のひらの中に有るパンくずを残らずばらまいて振り向き住職にお辞儀をした。 白いご飯と色の薄い味噌汁に焼き魚と黄色い沢庵とても質素な朝食だ。 住職と小坊主の黙念は無言で箸をすすめる。 やがて食事も終わりかけた時に電話のベルが鳴り響いた。 住職は急いで電話に出よう立ち上がり黙念を見たすると黙念はコクりと頷いて御馳走様と無言で手を合わせて自分の食器と住職の食器を片付け始める。 水は井戸水を利用していて夏でもヒヤリとするくらい冷たいのだが黙念は何も感じないのか黙々と洗い始めた。 年期の入った蛇口を回すとキュッと音がなり水滴が何度か落ちて井戸水は完全に止まる。 「花見さん処の爺さんが今朝早く亡くなったそうだ済まんが夕方にはお通夜になるから準備を頼む」
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