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扉の音を聞いて、俺はゆっくりと起き上がった。
辺りを見渡す。
勇者は………いないな。
「…………ふぃー。行ったか。」
次に頭に手をやる。
ひょこひょこ
「おお、無事だったか。」
俺のアイデンティティーであるアホ毛を軽く撫でる。
このアホ毛さんだけは生まれた時から一緒だ。
だから最早愛着を通り越して愛している。
もしアホ毛さんが擬人化したら真っ先に婚姻届を提出する勢いだ。
「あ、なんか生えてる。」
腹にぶっ刺さってる破魔矢っぽいのを引っこ抜く。
あ、折れた。
見た目の割に意外と脆いな。
「はぁ………」
思わず溜め息が漏れる。
「転職したいなあ…。」
いい加減この仕事止めたい。
『魔界四天王』とか意外と出番少ないから給料低いんだよなぁ……。
『スライム』とかいいよなぁ。
やつらは倒されたら急いで再出撃しなきゃいけないから、出番が多いぶん給金が高い。
沢山いると思われてるけど、何回も出てきてるだけなんだよな………。
「はぁ……。」
溜め息でるよ、ホント。
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