第一章

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─────────────── 扉の音を聞いて、俺はゆっくりと起き上がった。 辺りを見渡す。 勇者は………いないな。 「…………ふぃー。行ったか。」 次に頭に手をやる。 ひょこひょこ 「おお、無事だったか。」 俺のアイデンティティーであるアホ毛を軽く撫でる。 このアホ毛さんだけは生まれた時から一緒だ。 だから最早愛着を通り越して愛している。 もしアホ毛さんが擬人化したら真っ先に婚姻届を提出する勢いだ。 「あ、なんか生えてる。」 腹にぶっ刺さってる破魔矢っぽいのを引っこ抜く。 あ、折れた。 見た目の割に意外と脆いな。 「はぁ………」 思わず溜め息が漏れる。 「転職したいなあ…。」 いい加減この仕事止めたい。 『魔界四天王』とか意外と出番少ないから給料低いんだよなぁ……。 『スライム』とかいいよなぁ。 やつらは倒されたら急いで再出撃しなきゃいけないから、出番が多いぶん給金が高い。 沢山いると思われてるけど、何回も出てきてるだけなんだよな………。 「はぁ……。」 溜め息でるよ、ホント。
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