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「校舎とかの陰に隠れて見えないんだけどさ、昔使ってた校舎が敷地内にあるんだよ」
闘士は笑って答える。
小さい頃から小首を傾げて笑うのが癖だ。
「旧校舎……」
旧校舎っていうくらいだから、立ち入り禁止なんだろうな。
禁じられた場所ってそういうことなんだろうか。
「まあ結構古くて中は危ないらしいから人が入れるのかわかんないけどな」
闘士が腕を組んで考える。
でも危ないなんて考えていられない。
私は早くエルフに会いたい。
「ありがとう、闘士。私、行ってくる!」
勢いよく駆け出す。
「あ、おい!」
闘士の止める声には耳を貸さない。
目指すは旧校舎。
「待てって!」
後ろから闘士が追いかけてくる。
闘士は中学の頃陸上部だったこともあり、スピードでは敵わない。
「危なくったって私は行くよ!」
ここで闘士に止められるわけにはいかなかった。
ここでやめたら、もう二度とエルフに会うチャンスは訪れない気がして。
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