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開店したばかりの雑貨屋の店内には客は居なかった。 電源を通したばかりの空調機が滞留していた店内の空気をやっとかき回し始めていた。  人が入って来た気配が判ったのか店の奥から若い女の声がした。 「いらっしゃいませ?」  声だけしてこちらを見るふうはない。 寂れた商店街の雑貨屋を平日の午前中から訪れる物好きな客はそうはいない。 常連客か、 ここで仕事を貰う用事のあるやつか、 じゃなかったら目的の店を探している内に迷い込んでしまったやつぐらいしか来ないだろう。 「今日は学校はお休み?」  僕が、 奥に向かって声をかけると予想通りの返事があった。 「創立記念日、 今日は仕事?」  李沙は、 相変わらず振り返らないまま、 カウンターのレジスターに背を向けて壁側の戸棚の付近をごそごそとかき回していた。
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