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「年中、 創立記念日だね。 うん、 仕事ある?」  彼女は僕の問いかけには返事をしないで、 ごそごそと動かしていた手を休め、 戸棚の下の抽斗から西洋雑貨店には不釣合いな螺鈿細工を施した漆塗りの美しい文箱を取り出した。 そして、 ゆっくりとした動作でカウンターに文箱を置くと浦島太郎が玉手箱を恐る恐る開けたような少しオーバーなアクションで蓋を開いた。
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