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「それでは本件を請けるに当たっての注意事項を説明します。
名刺は依頼人にのみ渡す事。
名刺のコピーは厳禁、
勿論写真撮影も禁止します。
依頼人が名刺の受け取りを拒否した場合は自ら破棄するこなく必ずここに持参し返却すること。
あなたの携帯は本件が終了するまで当方でお預かりし、
代わりの携帯を貸与します。
なお、
貸与された携帯は私用で使わない事。
私用分は返却時に報酬から差し引きます。
お預かりしたあなたの携帯に着信があった場合は貸与した携帯に転送されます。
本件に対する報酬は完全成功報酬とします。
本件に関する経費は自己負担とします。
本件に着手するにあたり必要な経費があれば成功報酬の十分の一を限度として貸出します。
借りる？」
僕の財布の中身が心許ないのを見透かされていた。
彼女の勘もするどい。
爺さんが爺さんなだけに孫も相等なもんだと思いながらも借りるしかない自分が情けなかった。
生きるには金が必要だった。
今月の家賃も払えてなかった。
名目上は着手用の必要経費だが、
実際は当面の生活費だった。
雑貨屋がまわす仕事の報酬は比較的高かったが、
完全成功報酬と経費自己負担が正直きつかった。
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