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三
四月一日の朝、
男は、
高級な住宅街では反ってこの安物のパーカー姿は目立つ事に気が付いて少し気になっていた。
大友邸は２メートルを超える高い塀で囲まれていた。
門扉は一見、
しゃれたデザインだったが、
実は頑丈そうな分厚い鉄製だった。
監視カメラも複数台設置されていた。
そのカメラに映し出されたとしても不自然にならないよう、
意識してジョギングをしている付近の住民に見えるように装ったつもりだった。
そして、
いかにもそのジョギングの途中で休憩をしているふりをしながら、
視線は門の方へ向けていた。
演技に信憑性を持たせるため飲みたくも無いペットボトルのミネラルウォーターを飲んでいた。
その時だった。
一台のタクシーが停車し中から重い足取りをしたあいつが現れた。
そして大友邸の門の前に立った。
男はこれから三日の内にやり遂げなければならなかった。
その気持ちがいつ芽生えたかは自分でもはっきりと憶えていなかった。
もしかすると、
もの心がついた時にその感情の源はは既に生まれていたのかもしれない。
決心したのはほんの数週間前だった。
決心させたのは激情だったが、
計画は冷静に立てた。
決心がついてから大友を探した。
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