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五
大友は、
ずぶ濡れで不動産屋の二階の事務所にいた。
時を追うごとに強まる風雨が窓を揺らすのをジッと座って見ていた。
事務所に先に戻っているはずの四条畷の姿はなかった。
それからどれくらい経ったのだろうか、
三十分か一時間か、
事務所のドアが開いた。
ずぶ濡れで蒼白な顔をした大男が立っていた。
四条畷はバカな男ではなかったが、
自分の肉体の奥底から湧いてくるヘドロのような感情を制御できない男だった。
どうしてそうなったのかは自分でも解らなかった。
思い出すと物心付く前の幼子の時は、
昆虫を押しつぶして喜んでいた自分の微かな記憶があった。
学校に上ってからは、
自分の体にヘドロのような感情が湧いて溢れそうになるのを自覚した。
そんな時は、
親の目を盗んで野山に入り小動物を見つけて、
それをイジメ、
殺す事で均衡を保ちなんとか日常生活を送った。
そんな得体のしれないものを身に宿している自分が社会に適応できるわけが無い事を四条畷自身も解っていた。
大友は、
不動産屋の用事について行ったY市の夜の繁華街で四人のチンピラ相手に大暴れしている四条畷を始めて見た。
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