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七
僕は、
大友からの依頼を一時放棄することに決め、
病院を後にした。
病院の外にでると直ぐに携帯を取り出して雑貨屋へ電話した。
一回目の呼び出しで李沙が電話に出た。
「はい、
雑貨屋街灯です」
「僕だ」
「あ、
土師君。
何か色々あったみたいだね」
何処から情報が入ったのかしら知らないが、
一応は心配しているようだった。
昨日からの事を猛烈に彼女へ話したいという欲望が湧いたが、
「ああ」とだけ返事して、
畔津氏と替わるように頼んだ。
「爺ちゃん、
居ないよ」
つれない返事が返ってきた。
いったい何時も何処に居るんだと毒づきたかったが、
僕の携帯に至急連絡くれるようにと頼んで電話を切った。
一旦、
落ち着いて頭の中を整理しようと立ち止まり、
タバコを取り出して火を点けようとした時、
背後から声がした。
「やっと、
会えたな。
土師さん」
さっき、
僕の目の前で四条畷を撃った男を射殺した、
昨夜、
僕に三條と名乗った中年の刑事だった。
三條は、
僕に病院前のバス亭にあるベンチに腰かけるよう促してから、
自分もタバコに火をつけた。
そして、
僕の隣に腰を下ろした。
「何があった」
僕が返事をしないでいると、
三條が言った。
「死んだよ」
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