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彼女は言いにくそうな顔をした。
「それから何?」
「今度の仕事の本当の依頼人、
爺ちゃんだよ。
私が言った事、
絶対秘密だからね」
それを聞いた僕は、
大友と畔津氏との関係には考えが及ばなかったものの、
今回の仕事を受けた時からあった咽喉につっかえてた物が一気に落ちて行くのを感じた。
僕の右手は、
無意識にカウンターの札束をワッシと掴んでいた。
やっぱりあのジジイと思った瞬間、
李沙が札束を握り締めた僕の手を押さえた。
「貸した金、
返さんかい!」
僕は、
借金を清算した。
名刺は依頼人に渡したと嘘をついて三條に渡してしまったことは伝えなかった。
その時だけ李沙が僕の目をジロリと見たが白を切り通した。
そして、
預かった携帯と自分の携帯を交換した。
李沙が発信履歴と着信履歴を確認した。
僕は念のため、
前以て三條の携帯番号を削除していた。
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