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「おそらく公安がらみだな。 もしかするともっと上の話かもしれないな。 あいつよっぽどの大物だな」  天見優子の息子は名もなき死体になった。 「で、 どうなるんです」 「どうもこもうない。 この事件は身元の判らない、 被疑者死亡で書類送検されて終了だ」 「それで警察は、 三條さんは良いんですか」 「良くは無い、 良くは無いがしょうがない事だ」  僕は昨日、 三條に慰められた時の言葉を思い出した。 「でも、 それじゃあ、 別件で捜査している金山も笹倉も浮かばれないだろう。 このままじゃ恐らくお蔵入りだ。 だから、 お前の推理を一部借用して金山と笹倉の事件を急いで処理することにした。 だからお前は、 この二つの事件の事はもう忘れろ。 約束しろ」  三條の優しい気持ちが痛いほど伝わった。
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