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「取っときなさいよ」彼女は事も無げに言った。
いつまでたっても手が出ない僕に彼女は説明してくれた。
それは、
畔津氏からの伝言だった。
「確かにここの報酬支払いシステムは、
完全成功報酬が大前提。
今回の依頼は三日間依頼人と昼夜を共にすることだったけど、
依頼人は今日のお昼ごろに亡くなったんだよね」
「成功したともいえないけど、
俺的には半分ぐらいは成功したと思ってた。
だから成功報酬の半分くらいは貰おうと思ってた」
僕は自分の考えを正直に彼女に言った。
相手が畔津氏ならきっと言えなかっただろう。
「でしょ。
私もそう思う。
だから、
まあ百五十万ぐらいが妥当かなって。
でも、
爺ちゃん、
土師君が店に来たらこれ渡せって置いて行ったよ。
だからいいんじゃない。
いつもはショボイ仕事しかないんだから、
悟朗にまわせる仕事は・・・。
ホント悟朗向きの仕事って、
メッタないよ」
彼女は畔津氏しか知らないはずの僕の事をまるで知っているかのように言った。
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