第2章

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 「あれ?去年だったっけ?ずっと前のような気がする」  「ハハ、俺が入社した時からの付き合いですからね?」  山下が話に入ってきてくれて、本当によかった。  ほっとして山下に笑いかけた。山下は入社後松浦のいた課に配属されて以来の仲だ。四月にこの課を任された時、山下の名があって安堵した覚えがある。  一つの事に集中しがちな松浦をしっかりサポートしてくれている。  「そうだな、長い付き合いだな」  山下がいるから今何とか仕事になってるのかもしれない。  坂下から受け取った荷物を入れて顔をあげると、横から荷物をトランクに入れた宮倉が山下を遮るように言った。  「で、誰に貰ったんですか?」  「え?」  手を止めた松浦は横で山下の荷物を受けとる宮倉を見た。一瞬、何を聞かれてるか分からなかった。  「…ああ、車?これは、兄から貰ったものなんだ。車好きで、買い換えるときに譲ってもらったんだ。…あ、下取り価格くらいは払ったよ」  「へぇ」  興味なさげに呟いた宮倉は真隣にいる。  大丈夫だよな、普通に出来てる。  荷物を積んだトランクを閉めると出なければならない時刻になっていた。  「私、助手席でいいのかな?」  「ええー!坂下さん前に乗ったら後ろ狭いって!」  「我慢しろ!」  山下が瀬戸を一喝し、助手席坂下、後部座席男三人で出発することになった。  市街地を抜けると民家の密集した住宅街に入る。  立ち並んでいた家々が、徐々に疎らになってくると、山裾の、枯れ木の目立つ森林がチラチラと視界に入るようになった。  「坂下さん、今日それコンタクト?」  「課長!気づいてくれましたか!?」  「……いや、多分みんな気が付いてるから、」  「そうですか?そうですよね?誰も聞いてくれなかったんですけど」  「え、俺聞いたし!?」  後ろから瀬戸の情けない声がする。  「あ、ごめん。数に入ってなかった。……私ももう25ですから、気合いです、気合い!」  鼻息の荒い坂下にちらりと顔を向けると、目が真剣だった。
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