第2章

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(あ、あれ?……そういや宮倉の笑ったとこ、随分見てない……エレベーター以来かな)  じっと見ていた松浦に気付いた宮倉はまた硬い表情に変わる。  ……もしかして自分は嫌われてるのだろうか。  鍵を受け取ると、まだ到着していない牧村を待つという坂下を残し部屋に入ることにした。  「101って、宴会場の隣でしょ?くじ運無いですね?!」  部屋に移動しながら瀬戸が後ろにいる松浦ににたにたしながら振り向いた。  が、生憎くじを引いたのは松浦ではない。  今までの慣習では部屋割りを決めたときにくじもひく。  だから多分、宮倉が引いたんだろうと思う。  苦笑いで返すも隣にいた宮倉は剣呑に「すみませんでした」と呟いた。  「……い、いや、別にいいけど」  チラリと横を伺うと前を見据えた宮倉からは返答がなく、その不機嫌そうな表情に松浦は泣きたくなった。エレベーターの前で山下、 瀬戸と別れると部屋まで重々しい沈黙が続く。  前を行く宮倉の広い背中を見ながら松浦は、  「……ここ、建物はこんなだけど温泉旅館なんだよ、一階の奥に大浴場があって、離れに露天風呂もあるんだ」  と頑張って話しかけてみた。  声が微かに震える。  好かれたいなんて大層なことは思ってはいないけど嫌われたくい。  さっきの宮倉は仕事上の感情じゃなく、松浦自身を嫌悪して見えた。  これまで普通にしていたつもりだけど、緊張から避け気味だったような気がする。  宮倉が自分をどう思うかなんて二の次で。  今までの自分の態度を思い出すと嫌われても仕方がないようで、松浦は少し焦りを覚えた。  「へぇ、そうですか……」  「……」  「……」  「……荷物置いたら行こうかな、宮倉はどうする?……あぁ、そうだ、白井でも誘おっかな……」  聞いたものの宮倉が自分と一緒に行くとは思えない。それに行くなら困る。  ものすごーく困る。  松浦は白井にメールしようと携帯の入ったポケットに手を突っ込んだ。  「一緒に行きます」  「え?……そ、そう?」
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