第2章

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 「えー!?男ならあるでしょうよ、そういうの!山下さんないんすか?」  肩を揺らす山下は「うーん、」と唸った後「ああ、あるわナース服。でも俺着てもらったことあるや」と瀬戸に微笑んだ。  「チッ、これだからイケメンは…。あ、宮倉さん無いんですか?」  自分が聞かれたわけでもないのに、松浦の心臓が跳ねる。  そっと瀬戸を見るセクシー宮倉を窺う。  「ない……、……あぁ、強いて言うなら見たこと無いからメイド服かな?」  顎に手を当てた宮倉が、難しい顔で答える。  メイド服……。  男らしい、普通の男らしいような気がする回答に松浦はため息を飲み込んだ。  「え?見たことない?今度行きますか!?」  (瀬戸、誘うなよ!)  「うーん、いや、いい」  ほっとした松浦に瀬戸が顔を向けた。  「課長はないんですか?ロマン、」  ロマン……、瀬戸が思うのとは少々違う気がするけれど、宮倉に着て欲しいものはある。  例えば和服だとか、軍服みたいなのとか、つなぎだとか………  (あ、結構あるなぁ、)  「うーん、まぁ、色々かなぁ、」  「うわ、なんすか、教えてくださいよ!」  「うーん、制服、かなぁ?」  うちの高校の制服を着てもらって、その背中を見てみたい。  言った後、すぐ側に着て欲しい人がいる現実が非常に恥ずかしく松浦は湯を掬いごしごしと顔を洗った。  「なーかまなかま!」  瀬戸に肩を組まれ苦笑した松浦だったがゆさゆさ揺らされ助けを求めるように山下を見た。  「おら、嫌がってんだろ?離れろ!」  首の後ろを摘ままれて猫みたいに引っ張られた瀬戸は「痛いって!山下さぁん」と情けない声を出しながらも松浦の隣でちゃっかりと「女を落とす心得」のレクチャーを受けていた。
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