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「ハハハ、イケメン税かぁ。坂下面白い事を言うなあ。二人とも払ってあげれば?」
松浦は宮倉と山下に笑いまたグラスに口をつけた。
「かちょー!俺は!?」
渋面の宮倉、苦笑いの山下の向こうに自分を指差す瀬戸が情けない声を上げる。
「ハハハ、瀬戸は僕と飲もう」
「え……モテない同士ってことっすね… …」
「う……、まあ、」
瀬戸を見るとパンパンに頬を膨らましていてそれがまた笑いを誘う。
「あーもうほらイケメンツートップはさっさと行っちゃって下さい!」
瀬戸は口を尖らせ山下に体当たりする。
手酌でビールを注ぎながら松浦は笑いが止まらない。注いだビールを一気に飲み干してもまだ可笑しくて堪らない。
笑いながら行って欲しくないなぁと思う。
でもこの距離は近すぎて、遠い方が観察するにはいい。
「もー何だよ、宮倉はともかく俺は違うって!」
山下はそう言いながら、「でも坂下さんの為に行きますか?」と宮倉を見た。
何言いかかった宮倉は「……じゃあちょっとだけ」と立ち上がった。
貢ぎ物を獲た坂下は意気揚々と女性陣地へ帰っていった。
渋々立ち上がった宮倉に続いて山下が立ち上がる。
ちらっと松浦を見た山下が松浦の背後へやって来て座り込む。
「課長、もうほっぺまっかですよ」
山下は笑いながら松浦の頬を指した。
「飲みすぎないようにして下さいね」
「はいはい」
山下は少し微笑むと今度は瀬戸を見た。
「じゃあ瀬戸、課長見張っといて!あ、後で呼ぶからな」
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