エピローグ

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「…もしもし駿矢君!?  どこにいるの?」 着信は駿矢君からで、私が慌てて電話に出ると、 『梨乃、遅い…もう俺、教室』 「ええっ!? 入れ違い?! うそ…」 慌てて走ってきたのにとショックを受けて肩を落とした。 仕方なく、ため息をつきながら近くのベンチに腰を下ろす。 「…ごめん。気づくの遅くなって …休憩したら教室戻るね…」 電話の向こうの駿矢君に答えながら、汗でべたべたするシャツをパタパタさせていたら、 「ちょっと…梨乃… 無防備過ぎ!」 「ひゃあっ!!」 冷たいジュースが頬に当たり、それと同時に駿矢君の声が耳に届いた。 「え? あれ? 駿矢君?  …教室にいるんじゃ…」 驚いて後ろを振り向くと駿矢君が私の真後ろに立って呆顔で見下ろしていた。 「…教室は嘘。 梨乃が必死になって走ってくるのがわかったから隠れて見てた」 駿矢君は王子様スマイルでにこりと笑った。 「……ひ、ひど…。もう! なによ…! ここへ呼び出ししてまでイジワル…??」 「クラスの女子が俺たち付き合っているのかってしつこくてね」 「……え?」 「俺はそのつもりだけど本人に聞いてみれば? って言って、 ここへ逃げてきた」 「!」 駿矢君はまたにこりと不敵に笑った。 「…だからさっきクラスの女の子達が質問してきたんだ…」
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