爽やか王子様

4/7
前へ
/277ページ
次へ
「!」 さらに密着…! 佐野君の腕の力が強まった。 ぎゅっと佐野君は私を抱きしめて、…離す気配がない。 ……え? えええッ!? きゃあーーーーッ!! 一体何が起こっているのーーー!!?? 「さ、佐野…くん?!」 …なんで? どうして?  どうなって、こうなった?! 助けてくれたんだよね? なのになぜ私はその噂の貴公子に… そのまま抱きしめられているの…?! 「さ、さ、さ、佐野君!  佐野君っ!?」 私はパニックで彼の名前をただひたすら連呼した。 胸のドキドキがありえない大音量で大暴走…!! 「佐野くーんっ!!?」 ここは昇降口、靴箱の前、予鈴のチャイムが鳴ってから数分が経っている。 周りには他に生徒などいなくて、いや実際にはいるのかもしれないけれど、私の視界は彼の胸元で埋め尽くされて… ああ…どうしよう…?  う、動けない…! パニックで体に力が…入らない…!! 離してくれと言いたいのに言葉が " 佐野君 ″ としか出てこない。 するとその様子を見て佐野君はクスリと笑うと、ようやく私を抱く腕の力を緩めた。 私と目が合うと佐野君はにこりと極上の笑みを浮かべる。 心臓が太鼓でダンッと打ち鳴らしたみたいにドキンと跳ねた。 …てか、近い。 近すぎる…!
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1150人が本棚に入れています
本棚に追加