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「!」
さらに密着…!
佐野君の腕の力が強まった。
ぎゅっと佐野君は私を抱きしめて、…離す気配がない。
……え? えええッ!?
きゃあーーーーッ!!
一体何が起こっているのーーー!!??
「さ、佐野…くん?!」
…なんで? どうして?
どうなって、こうなった?!
助けてくれたんだよね?
なのになぜ私はその噂の貴公子に…
そのまま抱きしめられているの…?!
「さ、さ、さ、佐野君!
佐野君っ!?」
私はパニックで彼の名前をただひたすら連呼した。
胸のドキドキがありえない大音量で大暴走…!!
「佐野くーんっ!!?」
ここは昇降口、靴箱の前、予鈴のチャイムが鳴ってから数分が経っている。
周りには他に生徒などいなくて、いや実際にはいるのかもしれないけれど、私の視界は彼の胸元で埋め尽くされて…
ああ…どうしよう…?
う、動けない…!
パニックで体に力が…入らない…!!
離してくれと言いたいのに言葉が " 佐野君 ″ としか出てこない。
するとその様子を見て佐野君はクスリと笑うと、ようやく私を抱く腕の力を緩めた。
私と目が合うと佐野君はにこりと極上の笑みを浮かべる。
心臓が太鼓でダンッと打ち鳴らしたみたいにドキンと跳ねた。
…てか、近い。
近すぎる…!
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