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佐野くんはキラキラした笑顔を浮かべたまま、
「…ごめん。
可愛いからつい抱きしめてしまった」
と、とろけそうな素敵な声で、ありえないお言葉を私にくれた。
「…かッ…!?」
可愛い? 佐野君が?
私、を? 見て…?
『可愛いから抱きしめた』って今、言った!?
王子様に助けられ、抱きしめられそして至近距離で可愛い…。
朝からありえない事件に私の全身がボッと、一気に燃える火のように赤一色に染まっていくのがわかった。
「面白くて変な女。うける」
「……………え?」
その後にぼそっと聞こえた佐野君の声に私は固まった。
……き、聞き間違い…かな…?
今、佐野王子…なんて仰いました?!
「さ、佐野…くん?」
「大丈夫? 怪我していない?」
佐野君はまたニコリと紳士スマイル。
??
さっきの " 変な女 ″ 発言は気のせい…かな?
私は、ぱちぱちと瞬きを繰り返して佐野君をじーっと見た。
「ん?」
そこには噂で聞いたとおり爽やかで学校一カッコイイ、素敵な王子様の姿…
至近距離で見る彼はキラキラオーラが10倍増しで…
見惚れてそのまま何時間でも見ていられると正直思った。
とろけそうな思考で浮かんだ答え、それは、
きっとさっきのは気のせい!
だった。
「…あれ、君の?」
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