心霊ファイル:真心をこめたお見送り

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「心のこもった浄霊、お疲れ様っ!」  センチメンタルに浸りたいというのに、場の空気を壊すような母親の声が聞こえた。  急いで涙をゴシゴシと拭い、への字口をして振り返ると、母親は柱に寄りかかって腕を組みながら、優しい表情を浮かべていた。 「カッコよかったよ。泣かなきゃもっと、カッコよかったんだけど」 「うっせーな。放っておいてほしいのに」 「半人前の息子がちょっとだけ成長したんだ、褒めてやりたいじゃないのさ。今夜は赤飯炊かないとね」  それはそれは嬉しそうに言ってくれたのだが、何かハズカシイ…… 「今度好きになるコは三次元にしておくれよ。幽霊連れて来て彼女だなんて言ったら、私は迷うことなく除霊しちゃうから」  なぁんて言った台詞が現実化するなんて、やっぱり母親の能力は侮れないのかもしれない。だって幽霊の女のコってピュアなコが多いんだ。しかも可愛いんだ! 「何をやってんだい、お前は。それじゃあいつまで経っても半人前のままだわ」  呆れ返る母親を尻目に、今日も心のこもった浄霊をする。半人前が一人前になるように―― 【了】
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