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「やっぱり、呪われてしまったのか?」
「そうじゃないって、安心しろよ。実はさあの幽霊、お前たちに自分が弾くピアノを、聴いてほしかったみたいなんだよ」
「え……?」
聴衆は多い方がいいのかもしれない。けれど何かあった時の為に多すぎてもいけない。だったらこの件に関わりのあるふたりなら、大丈夫かなと思った。
「それで放課後、音楽室でピアノを聴いてやってもらえないか。きっと満足して、成仏してくれるだろうからさ」
ふたりに向かって、両手を合わせる。
「幽霊を呼び出すんだろ? 大丈夫なのか?」
うーんと考えながら岡田が呟いた。それに合わせて鈴木が頷く。
「ちょっと、な。不安だったりする」
「幽霊は俺の中に閉じ込めて、お前たちには危害を加えないようにさせるから大丈夫。信じてほしい」
「三神、お前にそんな力があるのか?」
まじまじとふたりに見つめられ、ちょっと照れくさかった。
「うん、何か最近目覚めちゃってさ。この事は内緒にしててほしいんだ。困った幽霊の手助けをしてるだけだから」
後頭部を掻きながら苦笑いして言うと、岡田が肩を優しく叩いてくれた。
「すげー。カッコイイよ三神。隠してるのが勿体ないと思うぞ!」
「人助けと言わないで、幽霊を助けるなぁんて言えるのが三神らしいよな。そんなお前を信じるよ」
鈴木が右手を差し出してきたので握手すると、ぎゅっと握りしめてくれる。
こうして俺は二人を引き連れ、放課後音楽室に乗り込んだのである。
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