39人が本棚に入れています
本棚に追加
***
緊張しながら音楽室の扉を開けて、ふたりを促し中に入った。
「なあ、幽霊いるのか?」
鈴木がオドオドしながら尋ねてくる。
「いるハズだよ。そこに座って待っててくれないか?」
音楽室の中央にふたりを座らせて、かけていたメガネを外した。
「三神、その目……」
目を見開き、驚いた顔して指を差す。鈴木も口元を押さえていた。
そりゃあ驚くよな、自分ではじめて見た時も異様だと思ったし。
「幽霊が見える印みたいなものなんだ。コレも内緒にしててくれよな」
肩を竦めながら言うと、なぜか岡田がワクワクした表情を浮かべた。
「すげー! 三神ってばすげー! やっぱカッコイイよお前」
「は……?」
「力を隠してることといい、その目といい、カッコイイとしか言えねぇわ。そう思わない? 鈴木」
興奮しながら鈴木を揺さぶると、呆れながらぽつりと言う。
「そうだな。だけど本人は隠したがってるんだから、お口チャックだぞ岡田」
「お前たち……」
変だと思われなかった。差別もされなかった――ふたりの態度に胸の中がじわりと熱くなる。
「三神の能力、この目でしっかりと見てやるから、幽霊呼び出せよ」
「……鈴木、ありがと」
「あっ、俺だって心のシャッターを押してやるぞ! カッコイイ三神を激写してやるからな」
負けじと騒ぐ岡田に対して、鈴木と一緒に苦笑いをしてしまった。お陰で緊張が随分と解れた感じがする。
「ふたりに感謝する。頑張るから!」
最初のコメントを投稿しよう!