心霊ファイル:真心をこめたお見送り

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***  緊張しながら音楽室の扉を開けて、ふたりを促し中に入った。 「なあ、幽霊いるのか?」  鈴木がオドオドしながら尋ねてくる。 「いるハズだよ。そこに座って待っててくれないか?」  音楽室の中央にふたりを座らせて、かけていたメガネを外した。 「三神、その目……」  目を見開き、驚いた顔して指を差す。鈴木も口元を押さえていた。  そりゃあ驚くよな、自分ではじめて見た時も異様だと思ったし。 「幽霊が見える印みたいなものなんだ。コレも内緒にしててくれよな」  肩を竦めながら言うと、なぜか岡田がワクワクした表情を浮かべた。 「すげー! 三神ってばすげー! やっぱカッコイイよお前」 「は……?」 「力を隠してることといい、その目といい、カッコイイとしか言えねぇわ。そう思わない? 鈴木」  興奮しながら鈴木を揺さぶると、呆れながらぽつりと言う。 「そうだな。だけど本人は隠したがってるんだから、お口チャックだぞ岡田」 「お前たち……」  変だと思われなかった。差別もされなかった――ふたりの態度に胸の中がじわりと熱くなる。 「三神の能力、この目でしっかりと見てやるから、幽霊呼び出せよ」 「……鈴木、ありがと」 「あっ、俺だって心のシャッターを押してやるぞ! カッコイイ三神を激写してやるからな」  負けじと騒ぐ岡田に対して、鈴木と一緒に苦笑いをしてしまった。お陰で緊張が随分と解れた感じがする。 「ふたりに感謝する。頑張るから!」
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