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くたびれた廃工場の中で、対峙する男は不気味に笑う。
「お嬢さんは強かった。だが、もう満足したよ。そろそろ終わりにしようか?」
不気味な笑みを浮かべていた男の両手が一瞬にして私の目の前に現れた。
「なにっ!」
捕まれた右手をなんとか振りほどき距離をとった。
多分だけど、ヒビが入ったかも…
「逃げちゃ駄目じゃないかぁ。ちゃんと大人しくしないとさぁ!」
視線を一瞬、倒れている執事の吉田に向ける。吉田が、まるで相手にならなかったなんて…
やっぱり…あちら側の人間なの…噂は真実だった?
「しまっ…!!」
「捕まえたぁあ!!」
吉田に気をとられた一瞬の隙をつかれた私は再び、男に今度は巫女服の右袖を掴まれた。
「じゃあ。サヨナラだ」
私には目的がある…こんな所で絶対に死ぬわけにはいかないんだ!!
胸元から素早く左腕でお守りを取り出す。男は危険を感じたからか袖を離し私から少し距離をおいた。
「なんだぁ…びっくりさせないでくれよぉ」
お婆ちゃん禁術使うね!!
青いお守りの封を開くと無数の呪符が私を包み込む。
「なんだそれは‥最後のチャンスかも知れないよ。全力で来な」
「長き時封印されし…その力…今我が解き放つ!!解!!」
青い炎を無数に纏った呪符は次々と破れ去る。最後の一枚が破れると同時に雷鳴が轟く。雷鳴が鳴り止むと同時に一筋の激しい雷が私と男の前に堕ちた。
二人の間に煙が立ちこめる。
少しずつ消えていく煙。
これは‥なんなの……お婆ちゃん…
煙が晴れた先に見えたのは、髪は黒髪少し短めのアシンメトリーっていうのかな?そして右手にはA4サイズくらいの薄い本を手に持ったパンツ姿の青年。
ちょっと…
おばあちゃぁああああああん!!!
出てこいやぁあああぁあああ!!!!
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